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ドイツに関係があったりなかったりすることの記録、です。

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思い出と後悔と、喪の仕事

元旦に、義母の家に新年の挨拶に行った時、
まず、初めに彼女の口から、
「悪い知らせよ」という言葉が。

1月1日の朝7時、リディアさんが亡くなったと。
88歳。

私が手伝いに行っているデイサービス施設を利用していて、
初めて会った時に、私の名前を聞いて、
すぐに「あんたの義理のお母さんを知っているよ」
そう声をかけてくれて。

同じ村に住んでいて、一番下の息子さんは家人と顔なじみで、
うちの事情をよくわかっているから、
デイサービスで、新しいスタッフや新しい利用者さんが来ると、
私のことをいつも説明してくれていた。

「彼女は、日本から来たんだよ。
彼女の義理のお母さんは、教会の前のうちに住んでいて、
最近工事をしている、あそこが彼女の家」
おかげで、すぐに新しい人ともなじむことができ。

ずっと車椅子での生活が続いていて、
一番下の息子さんは、会社を週休3日にし、
平日の1日をリディアさんと一緒に過ごしていた。

その息子さんが、
「うちのママ、最近日本に興味を持って、
日本のガイドブックを買ってくれって言うから、
インターネットで注文したんだよ」
そんなことを言っていて。

しばらくして、施設で彼女に会うと、
「コンニチハ!」
「サヨウナラ!」
と挨拶してくれるように。

それから、施設だけじゃなく、教会で、村祭りで、散歩の途中で、
彼女に会うといつも「こんにちは」と挨拶し、
大きな体にぎゅーっと抱きしめてもらっていた。

改築中の我が家がある通りが、彼女の散歩道で、
「ものすごく大きなクレーンが入ったね」
「あんたのご主人が屋根に上っているのを見たよ」
「壁がいい色に仕上がったね」
そんな風に、うちのことも見てくれていた。

デイサービスには私のことを可愛がってくれる人はたくさんいる。
でも、その中でも彼女は特別な存在で。
大らかで、いつも笑顔で、
勉強家で、話が面白くて、人気者で。

私がデイサービス施設の手伝いをしていると言うと、
「じゃあ、リディアを知ってる?彼女はほんとにいい人なのよ」
みんなが口を揃えて、そう言った。

彼女に最後に会ったのは、去年の12月15日。
帰りにはいつものように、日本語での「サヨウナラ」を。
そしてそれが、私が聞いた、彼女の最後の言葉に。

次の週に、彼女がいつもの部屋にいないので、
スタッフに尋ねると、入院したのよ、と。

0901160160.png

今日は、村の教会で行われた葬儀に参列。
訃報を聞いてから、ずっと頭のどこかに彼女のことが離れず。

あの時、挨拶だけじゃなくて、もっと長く話せばよかったとか、
あの時、家に遊びにきてもらえばよかったとか、
病院にお見舞いに行けばよかったとか。

後悔と思い出と悲しみを噛みしめるという、
喪の仕事をしながら、私はこうも考える。
これはリディアさんが与えてくれたレッスンで、
これから先の「別れ」にどう向き合っていけばいいか、
気持ちをどう整理すればいいか、
学んで修練する機会だったかもしれないと。

0901160159.png

葬儀の前に、記帳をした参列者に配られたカード。
中にはリディアさんの笑顔の写真が。
私の生活の中に、明るさをもたらしてくれてありがとう。
また、会いたい。



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Comment[この記事へのコメント:]

***か*さん へ 

  •  Y 
  • URL 
  • at 2016.01.10 09:37 
  • [編集]
ちょっとしんみりした話を書いてしまいましたが、温かいコメント、どうもありがとうございました。
嬉しかったです。ぎゅーっとしてもらった気持ちになりました。

NoTitle 

  • aka 
  • URL 
  • at 2016.01.11 06:52 
  • [編集]
私もこの小さなカードが増えてきました。
昨日は前に住んでいた所に行ってきたのですが、近所のおばあちゃん達にも挨拶できました。
あのギューッと抱きしめてくれる、若い人達の間でのハグとかじゃない、気持ちがいっぱい詰まった暖かい感触が私も大好きです。
いぷしろんさんは仕事柄、これからも別れを乗り越えていかなければならないのですよね。大変なお仕事だとつくづく思います。でも、いぷしろんさんと過ごした楽しい時間を持って旅立たれると考えると、素敵なお仕事だなぁと思います。

akaさん へ 

  •  Y 
  • URL 
  • at 2016.01.11 11:02 
  • [編集]
仕事なんて立派なものではなく、ただの「お手伝い」で、ほんとに大したことはしてないんですけど。。。
でも、施設でいろんな人に接して、私の方が「ありがとう」という気持ちになることが多いです。
施設からの帰り道はものすごく体も気持ちも軽くて、私が癒されに行っているようなもので。

akaさんが住んでたところのおばあちゃんたち、akaさんに会えてとっても嬉しかったでしょうね。大歓迎の図が浮かびますよ!

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